旅先や自宅で、スーツケースの鍵が開かなくなった。そんな時、焦る気持ちは分かりますが、力ずくでこじ開けようとする前に、まずは落ち着いて試せるいくつかの応急処置があります。多くの場合、原因は単純なミスや見落としにあり、簡単な操作で解決できることが少なくありません。まず、ダイヤルロック式のスーツケースで最も多いのが、「自分で設定した番号を忘れてしまった、あるいは勘違いしている」というケースです。誕生日や電話番号の下四桁など、自分が設定しそうな番号のパターンを、もう一度落ち着いて試してみましょう。この時、ダイヤルが中途半端な位置にあると正しく認識されないことがあるため、一桁ずつ、カチッという感触があるまで確実に合わせることが重要です。次に、鍵穴にキーを差し込むシリンダーキー式の場合、「鍵が奥までしっかり刺さっていない」という単純なミスも考えられます。鍵を一度抜き、向きを変えたり、少し揺らしながらゆっくりと奥まで差し込んだりして、再度回してみてください。また、空港での検査などで、職員が中身を確認するためにロックを壊さずに開けられる「TSAロック」の場合、鍵穴の周りに赤い菱形のマークが付いています。もし、鍵穴がいつもと違う向き(例えば縦向きが横向きに)になっていたら、それはTSAのマスターキーで開けられた後、正常な位置に戻されていない可能性があります。この場合は、鍵穴の周りの部分を指で回すなどして、正しい位置に戻すことで、自分の鍵で開けられるようになることがあります。さらに、ファスナータイプのスーツケースの場合、ファスナーの引き手(スライダー)が、ロック部分にしっかりと嵌まっていないと、解錠ボタンを押しても開かないことがあります。一度、引き手をロック部分にグッと押し込んでから、再度解錠を試してみてください。これらの基本的な確認を行うだけで、解決するトラブルは意外と多いのです。