ドアノブの交換を成功させるための鍵は、施工技術よりもむしろ「正確な計測」にあります。どれほど高価で美しいドアノブを用意したとしても、数ミリの規格違いがあれば、それはただの金属の塊になってしまうからです。まず絶対に間違えてはいけないのが「バックセット」です。これはドアの端、つまり戸先からドアノブの中心、シリンダーやレバーの軸の中心までの距離を指します。一般的には五十ミリ、六十ミリ、七十ミリといった規格がありますが、これを間違えると、新しく買ったノブが以前の穴を覆い隠せなかったり、ラッチが届かなかったりします。必ず扉の正面から定規を垂直に当てて計測してください。次に「扉厚」です。扉の厚みは一般的に三十ミリから四十五ミリ程度ですが、製品パッケージには必ず対応する扉厚が記載されています。この範囲外のものを選んでしまうと、ネジが反対側まで届かなかったり、逆に余りすぎてグラグラしたりと、安全に関わる不具合が生じます。また、扉の側面に取り付けられている「フロント板」のサイズも重要です。この金属プレートの縦の長さ、横の長さ、そしてそれを固定している二本のネジの間の距離を測ります。ここが一致していないと、既存の切り欠き穴にプレートが収まらなかったり、ネジ穴を新たに開け直さなければならなくなったりします。さらに「ラッチのフロント」と呼ばれるプレートが平らなタイプなのか、それとも角が丸いRタイプなのかも確認が必要です。もしRタイプなのに角ばったプレートの製品を買ってしまうと、ノミや彫刻刀でドアを削る必要が出てきます。また「取付ネジピッチ」という、ドアを貫通してノブ同士を繋ぐネジの感覚もメーカーや型番によって異なります。これを無視して製品を選ぶと、ドアに新たな穴を開けなければならず、DIYとしては非常に難易度が高くなります。さらに忘れがちなのが、ドアの中の穴の形状です。一見同じように見えるドアノブでも、内部の切り欠きが丸穴なのか、それとも四角いプレート状の部品を通すための穴なのかによって、構造が全く異なります。可能であれば、新しいものを買う前に一度古いドアノブを完全に分解し、穴の形状とサイズをデジタルカメラやスマートフォンで撮影しておくことをお勧めします。写真があれば、お店で店員さんに相談する際も話がスムーズに進みます。計測は一度きりではなく、二度、三度と角度を変えて行い、数値が安定していることを確認する慎重さを持ってください。これらの数値さえ正確に把握できていれば、適合品を探す作業は半分終わったも同然であり、その後の取り付け作業で立ち往生するリスクを最小限に抑えることができるのです。
ドアノブ交換時に絶対確認すべき寸法と規格